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イベントレポート2019

2019年度理事会・総会 開催          2019年6月10日 矢掛町 矢掛屋

総会の様子 岡山EU協会の2019年度理事会・総会が6月10日 (月)、岡山県矢掛町の矢掛屋「広重の間」、シャンテ「あかつきの蔵」で開かれ、新会長に松田正己岡山経 済同友会代表幹事を選任するとともに、事業計画や収支予算などを決めた。理事会および続いて開かれた 総会には会員ら30人(委任状50人)が出席、理事会で会長の松田久氏(岡山商工会議所会頭)が2年間の任期 満了に達し、次期会長に松田正己氏(岡山経済同友会代 表幹事)が選出され、松田久氏は筆頭理事に就任することが了承された。  また2019年度の事業計画では、12月の創立10周年に向けて記念式典や特別講演会を開催することや欧州の経済・文化を深く知るための「EU講座」開催、会報「EU Letter」継続発行、協会ホームページの充実などの計画が説明され、新年度の収支予算書も承認された。
散策の様子  この日は、昨年6月岡山EU協会(共催岡山経済同友会観光振興委員会)が開催した「アルベルゴ・ディフーゾフォーラムin岡山」で講演したジャンカルロ・ダッラーラ氏が、日本国内で初めて「アルベルゴ・ディフーゾ」に認定をされた矢掛町で「認定1周年シンポジウム」を行うことになったため、これに合わせて今年度岡山EU協会の理事会・総会を同町で開いた。総会参加者ら は、屋根がわらが葺き替えられ、白壁も真新しい古民家の甦った矢掛本陣や矢掛屋周辺の家並みを散策後、認定1周年を記念するダッラーラ氏の講演に熱心に耳を傾けていた。 また懇親会では本会員を矢掛町民らが今後の活動などを話し合い歓談した。

第24回EU講座 「欧州全体の林業の現況と未来 CLTの活用状況と未来に向けての展望」

 講座の様子岡山EU協会(松田正己会長)の第24回EU講座は9月10日(火)、岡山市北区駅元町のANAクラウンプラザホテル岡山で開かれ、銘建工業㈱の中島浩一郎代表取締役社長が「欧州全体の林業の現況と未来 CLTの活用状況と未来に向けての展望」の演題で講演した。 岡山EU協会会員と岡山経済同友会が10月から11月にかけて行うヨーロッパ経済視察の参加者ら、約70名が参加した。 松田正己会長が「岡山とEUの関係は深い。英国は離脱問題などで混迷しているが、EU全体の状況を把握しながら、知見を深めたい」とあいさつし、講演に移った。 中島社長は、新建材CLT(直交集成板)の普及を推進している銘建工業の業務内容を紹介しながら、ヨーロッパ林業の現状や、木材産業が隆盛なオーストリア、スウェーデンの事情を解説。林業の関係者の所得が高く、輸出額も多額とし、広大な森林を抱えながら伐採が進まない日本との比較を語った。所得の高い国では、林業が産業として成り立つと、日本の可能性も示唆した。その背景として、中島社長は「木を植え育て、伐採するインフラが出来上がっている。仕組みが整うのが大事。木材はちゃんとやれば大変な産業になる」と指摘した。 石の文化といわれるヨーロッパでも、1600年代のロンドンでは木造住宅が主流だったとし、英国では軽くて施工が早く、住み心地がいいCLTの導入が進んでいる例を示した。ウイーンのホテル、バンクーバーの学生寮、チューリヒの動物園などを紹介し、すべて工場生産で作るCLTの利点をアピール。仮設道路に利用したりするなど世界に広がっている様子を挙げた。欧州では、10階建て以上の木造マンションが次々に建設されていることから、中島社長は「21世紀は木の時代。SDGsの考え方そのもので、欧州では関心の高いテーマ」と語った。
会場の様子 真庭市でも、姫新線久世駅の木造トイレが話題となっているのをはじめ、全国各地に目を転じると、企業の社員寮や木造の賃貸アパートが脚光を浴びているとし、木造建築の豊かな未来を語り、参加者に感銘を与えた。 会場からは「日本と欧州では、原木に大きな差があるのか」「傾斜が激しい日本の山。切って運ぶ課題は」「CLTとコンクリートの価格差はどうか」などと質問が出ていた。 閉会あいさつに立った岡山EU協会副会長の槇野博史岡山大学学長は「明るい話を聞けた。本日の話こそSDGsだ。テクノロジーがイノベーションを生んでいる」と感想を話した。

第25回EU講座 日本文化 もっとアピールを 駐日サンマリノ大使 マンリオ・カデロ氏が講演

講師岡山EU協会(松田正己会長)第25回EU講座が11月29日(金)、岡山市北区駅元町のANAクラウンプラザホテル岡山で開かれ、駐日サンマリノ大使のマンリオ・カデロ氏が講演し会員ら約30人が参加した。 カデロ氏は1975年に日本へ移住し、東京を拠点にジャーナリストとして活動。1989年に駐日領事となり、2002年から大使。現職の駐日各国大使の中で最も駐在期間が長く、2011年から駐日外交団長を務めている。 松田正己会長が「大使、ようこそ岡山へ。サンマリノは世界で5番目に小さいが、すてきな国と聞いています」とあいさつをし、サンマリノの四季を紹介したビデを視聴後、カデロ氏の講演に移った。 カデロ氏は、国土をイタリアに囲まれたサンマリノについて「人口は3万6000人ほどと少ないが、軍隊がなく、貴族もおらず、摩擦がなくて国民はおとなしい。長く独立を保っている。税金も安い」と紹介。一方で、質が高くてアフターサービスも優れている日本製品に人気があり、サンマリノ国民から日本が尊敬されていると解説した。 少年時代に源氏物語を読むなど、早くから日本文化に親しんだカデロ氏は、日本の縄文時代について「本当のエコロジー。自然を無駄にせず、平和だった。素晴らしい文明だ」としながら、「日本人がその素晴らしさに気づいていない。伊東マンショら天正遣欧少年使節についても、教科書の扱いが軽い」と懸念。日本のODA協力についても「世界から感謝されているのに、よく知らない日本人が多いのは残念」として「日本人は勤勉で賢い。謙虚で質素でもある。アジア人は日本にあこがれている。その哲学は神道にあり、もっとオープンにしてほしい。おもてなしの文化を紹介し、宣伝していくべきだ」と穏やかな口調で促した。 神道を知ると、日本文化は理解しやすいとも述べ、サンマリノに神社を建立して話題を集めているエピソードを語り、会員の関心を引いた。 講演後、会場からは「日本への留学について、われわれは発信が下手なのでは」「英国がEUを離脱したら、どうなる」「サンマリノは移民を受け入れているのか」などの質問が次々に寄せられた。 カデロ氏は「日本は環境も治安も良く、学びに最適。ただ、観光も含めビザはもう少し緩めてほしい」会場の様子「サンマリノは小さな国でまとまりが良く、移民受け入れは否定している」と述べ、EUについては「物価水準などさまざまな問題を抱えており、国により事情がいろいろ。英国が離脱したら、さらに離脱へ向かう国が出るかもしれない。大きな分かれ目だ」との認識を示した。 講演を聞いた古市大藏理事は「貴重なお話を伺った。穏やかな時間だった。EUも殺伐とせず、カデロ大使の講演のような雰囲気を長く保ってほしい」と閉会の言葉を述べた。 ナ

岡山EU協会10周年記念講演会 

 講師 岡山EU協会(松田正己会長)は2009年12月の設立から10周年を迎え1月27日(月)に岡山市北区のホテルグランヴィア岡山3階「クリスタルの間」で10周年を祝う記念講演会を開催した。 講師には百人一首など和歌に詳しい詩人で翻訳家のピーター・マクミラン氏を迎え「日本文化の素晴らしさについて」の演題で講演、会員ら約70人が参加した。ピーター・マクミラン氏はアイルランド出身で日本在住歴30年以上。アイルランドと英国の両国の国籍も持つ。プリンストン、コロンビア、オクスフォードの各大学で研究員、東京大学、東京女子大学の講師も務めている。2008年に英訳「百人一首」でドナルド・キーン日本文化センター日本文学翻訳特別賞を受賞し、その後も英訳「伊勢物語」を出版するなど、高く評価されている。 記念講演会では、松田会長が岡山からEUの理解を深め、交流を進めようと10年前に会が設立された経緯を紹介。「英国のEU離脱が迫っているが、日欧は貿易協定を結んでおり、当初心配されたような混乱はないのでは。産業界とEUのパイプ役になりたい」とあいさつした。 祝辞続いて、岡山EU協会副会長を務めるフリオ・アリアス駐日欧州連合代表部広報部長が、会員の小笠原ヒロ子氏の通訳で「EUについて、地域の協会が尽力していただいており、ありがたい。EUはさまざまな人々が絡み合い、なかなか理解が難しいかと思うが、岡山は活発に活動していただいている。グローバル化の中、ヨーロッパの歴史や文化の多様性を伝えていきたい。岡山とEUの関係は、今後の10年間でさらに強化されるだろう」と祝辞を述べた。 講演に移り、拍手に迎えられて登壇したマクミラン氏は、英国のEU離脱は残念と語りながら「本日は、外から見た日本文化について語りたい」として、自ら手掛けた百人一首の英訳について詳しく解説していった。 マクミラン氏は、日本文化には世界への普遍性がある一方、はかなさなど日本ならではの感性による魅力もあると、会場を巡りながら身振り豊かに語り掛けた。「私の中にはアイルランド人の美学と日本人の心が同居している。日本の文学を英語でどう表現するか、一緒に考えましょう 」講師と呼び掛け、万葉集の大伴家持、柿本人麻呂、百人一首の猿丸大夫、曾禰好忠、崇徳院、伊勢物語の在原業平らの秀歌を示して、魅力を追究。縦に長い形で英語化したり、同音異義語を巧みに使ったり、音やリズムを追って効果を高めるなどの手法を次々と紹介して英語訳の深さを垣間見せた。 日本人の自然観や恋愛観の美しさに感嘆した経験も語り、日本古来の奥ゆかしい感性、感情と論理の共存を称えた。 講演後、会員からは「英語圏の人は、日本文学の何割ほどを理解できると考えるか」「アイルランドから見た英国はどう映るのか」「人生を楽しむという点を、EUの人々はどう捉えていると感じるか」などの質問が出て、マクミラン氏と意見交換した。懇親会では古市氏の乾杯のあいさつの後、大森市長から祝辞をいただき、講師を囲み和やかなひと時をすごした。