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イベントレポート2016

前英国大使による特別講演会

 岡山EU協会は、は10月10日(月)、就実大学(岡山市中区西河原)と共催で、デイビッド・ウォレン前駐日英国大使を講師に招き、「英国のEU離脱と世界経済のゆくえ」をテーマにしたフォーラムを同大学110周年記念ホールで開いた。
 萩原会長が「37年ぶりのポンド安、資源株の上昇など英国とEUの問題は日本にも影響がある。一緒に勉強したい」と挨拶し開会、「英国のEU離脱の背景と今後の展開」と題した基調講演でウォレン氏は、低所得者ほど離脱を選ぶ傾向が高かったとする調査結果にふれ「多くの有権者が現在の世界経済の制度に無関心で、政治エリートは信用できないと感じていた」と説明。「政治的・経済的危機を悪化させる保護主義的障壁を導入せずに、苦しみ、怒っている人々を救う方法を世界中の政治家が探さなければならない」と訴えた。
 続いて日本銀行岡山支店の福地慶太支店長、就実大学の杉山慎策副学長兼経営学部長とウォレン氏による鼎談が行われ、福地支店長は「格差が拡大し、政治への不満のはけ口として国民投票が使われた側面がある」と指摘。杉山副学長は「EU発足以降、欧州では国同士の戦争が起きていない。EU発足の原点に返るべきだ」と強調した。ウォレン氏は「今の状況でEUが解体することはないだろう。EUが英国を求めている以上に、英国はEUを必要としている」と見通した。閉会の辞で宮長雅人岡山EU協会副会長は「ポピュリズムの台頭、金融資本主義のあり方といった難題を政治家任せにせず、私たち国民が意識し考えることが重要だ」と述べた。


2016年度理事会・総会開催 駐日ハンガリー参事官による記念講演

岡山EU協会(会長・萩原邦章岡山経済同友会顧問)は2016年度理事会・総会を6月9日(木)、岡山市内ホテルで開催した。
理事会に続いて開かれた総会では、萩原会長が冒頭で「混迷が続く中東情勢、ギリシャの経済危機など世界では様々な変化が起きている。グローバル化が加速する中、この協会の活動を通じて国際情勢を学んでいきたい」とあいさつした。
議事に入り15年度事業報告・同決算書を審議、承認し、16年度事業計画として欧州経済・文化事情をよく 知るため「岡山EU講座」を充実させる、会報「EU Letter」の継続発行するほか、ホームページの充実、会員の増強―などに取り組むこと、これら事業を実施するため総額325万円余の収支予算を原案通り決めた。 総会後の記念講演では、ギョルギ・ユハース駐日ハンガリー大使館参事官(臨時代理大使)が「ハンガリー―新しい関係の可能性」と題して講演した。この後、懇親会を開き、和気あいあいと楽しいひと時を過ごした。

第17回EU講座 小串聡慶応義塾大学EUSI研究員による講演
       「(選挙権の引き下げ等を含む欧州の若者の政治参画」

 第17回EU講座が5月20日(金)、岡山市のホテルで小串聡彦慶應義塾大学EUSI研究員(外務省国際経済課EPA専門員)を招いて開催された。 日本では7月の参院選挙で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられるが、その数歩先を行く欧州諸国ではどのような議論がなされているのか、「(選挙権の引下げ等を含む)欧州の若者の政治参画」と題して講演。会員ら約30人が熱心に聞いた。 欧州では、高齢化社会の進展や若者の政治への関心の低下が進む中、若者の政治参加を促す手段として選挙権年齢の引き下げがずっと検討されてきた。若者は未来の社会の担い手である。社会の一員として政治決定に参加すべきだし、政治に新しい価値観を反映させるためにも若者参画が必要といえる。欧州で積極的に引き下げを主導しているのは各国の若者団体やその連合組織である若者協議会、EUレベルの欧州若者ファーラムだ。18歳にとどまらず、16歳選挙権の導入も進んでおり、オーストリアは国政および地方選挙で実施している。ドイツ、スイス、英国、ノルウェー、エストニアは特定の州および市町村選挙で実施、さらにスウェーデン、デンマーク、アイルランドでも選挙権16歳への引き下げの動きが進行している。 「従来は欧州でも投票年齢の引き下げは否定的な見方が多数だったが、10代の投票率が相対的に高く、特に親が投票に行くと子どもも行くというように親との同居率の高さが投票率の高さに反映。また、ニュースを見る頻度もアップするなど政治的成熟度も上昇するという傾向も明らかになっている。こうしたことから選挙権16歳への引き下げに好意的な見方が出てきているのだ。」と述べた。