2015年度理事会が6月5日(月)、岡山市内のホテルで開かれ、任期満了に伴う役員改選の結果、会長の泉史博氏(岡山経済同友会顧問、中国銀行会長)の後任に萩原邦章氏(岡山経済同友会代表幹事、萩原工業代表取締役社長)を選んだ。泉氏は筆頭理事に就任した。
続いて開かれた総会には会員約90人が出席(委任状を含む)、14年度事業報告・収支計算書を承認、15年度事業計画・収支予算を決めた。総会後の記念講演は一橋大学教授の有吉章氏がギリシャ危機が高まる中、「ユーロの行方」の演題で講演した。この後、懇親会を開きフルート、ピアノ演奏をバックに和やかなひとときを過ごした。
9月8日(火)、倉敷市内のホテルで第15回EU講座が開かれ、会員約30人が参加、瀬戸内市出身の造形作家・山口敏郎さん(58)が「私と自然 日本とスペインの往還」と題して講演した。
山口さんは1978年に武蔵野美術大学を卒業後、スペインに渡りマドリッドを拠点に芸術活動を展開している。シベリア鉄道でロシアから初めて欧州に入り各国を巡るうちプラド美術館の素晴らしさに心酔。「スペイン美術を勉強するにはプラド美術館を出る必要はなく、欧州美術を知るにはスペインから出る必要はない」の言葉に従い4年間、模写に懸命だったが、フランコ総統没後、自由主義の高まりで現代アートの花が咲き、前衛を始めた。自分の個性を磨き、いかに創造性を高めていくか。「そのためには自分の考えを話すことが一番。相手との会話の中で新しいアイデアは生まれる」。バーや食堂が一体化したスペイン特有の“バル”が多くのアーティストとの会話の場だった。
長く欧州に住んでいるうち何かしら議論づくめの生活に息苦しさを感じるようになった。一言でいえば、西洋の絵画は3次元の世界を正確に2次元に置き換え、遠近法の発明などで自然をコントロールすることで発達してきたといえる。
一方、東洋の絵画は自然になりきることであり、何かを見てではなく、自分の頭の中にあるものを描く。「日本的なものとは自然との共生が残っている状態」という考えに至り、最近は、はかないもの、移り変わるものを現代人は求めていると考え、芸術活動を続けているなどと語った。
第16回EU講座が3月28日(月)、岡山市内のホテルで開かれ、5月に倉敷市で開かれる教育サミットの準備のため来岡した欧州連合(EU)代表部のセーラ・ウテン広報部長が「私が観たEU」と題して講演、会員ら40人が熱心に聞いた。
まず、萩原会長が冒頭あいさつで「押し寄せる移民問題、6月には英国がEUに残るかどうかの国民投票が行われるなどEUは今多くの問題を抱えており、私たちも強い関心を持っている。今後、勉強し経済的にも政治的に良い関係をつくっていきたい」と述べた。
講演でウテン部長は「皆さんの関心はテロ、移民、EU離脱を問う英国の国民党投票などにあるのかもしれないが、EUが注目されるべき点はもっと別のところにある」と前置きし、真っ先に挙げたのがEUのパートナーシップの良さだった。2004年12月、インドネシアのアチェで津波が発生し大被害が出たのを機に、EU加盟国が人材派遣など行い政府軍と反政府軍との和平交渉をリードし紛争を解決した経緯を紹介「一つの国ではできないことをEU加盟国が一緒になって取り組み、紛争を解決したことは高く評価され、報道で取り上げられるべきだった」と語った。
また、1952年に過去の戦争の引き金になった石炭と鉄鋼を共同管理する欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が始動、EUのひな型になった歴史を語りながら「EUのもともとの狙いは平和にある。最初は6カ国だったが今は28カ国に拡大、平和は今も価値観の中心になっており2010年にはノーベル平和賞を受賞した」と話した。さらにEUは世界最大の開発援助提供者であり「軍事力をメーンにしていない点は日本も同じであり、災害復興や開発支援などこれから日本と協力できる面は多い」と述べた。一方、日本とEUは自由貿易協定の交渉中であり「これがまとまれば双方の輸出入が一段と拡大する」と期待を込めた。
最近の難民・移民問題について、日本も対日外国人の増加などで対応が求められていることから「他国の人と同じように話せる人権感覚が必要で、子どものころからこうした感覚を養う教育が大切だ」などと述べた。