岡山EU協会(宮長雅人会長)の第29回EU講座が2月15日(水)、岡山市北区のホテルグランヴィア岡山で開かれ、日本航空㈱のレゲット・ロス執行役員路線事業本部副本部長が「JALのヨーロッパ戦略 路線と提携」と題して講演した。会員ら約40人が聞いた。
開会にあたり宮長会長が「昨年の岡山経済同友会のヨーロッパ視察ではJAL様に大変お世話になった。新型コロナウイルス感染症が5月8日から感染症法上で2類相当から5類に引き下げられる見込であり、今後は海外に観光などプライベートでも行きやすくなると思う。本日はJAL様の取り組みをお聞きしすることで今後の参考とし、さらにEUとの交流を深めていきたい」とあいさつ。久山裕士事務局長がレゲット氏の経歴を紹介した後、講演に移った。
レゲット氏は「1981年に交換留学生として日本に来て以来、岡山県を訪れるのは今回が4回目」などと話し自己紹介した後、講演がスタートした。
まずJAL欧州線の歴史を紹介し、1961年に北回りでの運航を開始、「当時は東京からアンカレジ、コペンハーゲンを経由してロンドン、パリに行くというルートであった」などと話し、その後1986年にモスクワに着陸しない代わりに通行料を払ってシベリア上空通過の欧州直行便を就航、2022年からはロシアウクライナ情勢の影響で、ロシア上空通過を避け、日本発は北回り、欧州発は南回りで迂回して運航中であることなどを説明した。欧州へのフライトは乗り継ぎが多く、提携先の航空会社と一括予約できるシステムの導入などで顧客の利便性を高めていると説明。乗り継ぎが円滑にできるよう運航スケジュールなども一緒に協議し「踏み込んだ協業により顧客の利便性を最大化していく」と話した。共同事業は現在実施されている最も深化した提携形態であり、JAL、ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンエアー、イベリア航空の4社で欧州線協働事業を実施している。
JALの未来に向けての戦略について「ESG戦略を経営戦略の軸として推進し企業価値向上・成長」目指すと話した。「フランス国内線では1時間から2時間以内に目的地に到着する航空機は飛ばなくなる」など、欧州で二酸化炭素排出量が多い航空機の利用を避ける動きが生まれていることを紹介、対応策として、燃費の良い最新の機体の導入やSAF(持続可能な航空燃料)の活用など、脱炭素化を進めていることを強調した。出張で搭乗した際のCO2排出量を相殺する環境プログラムを顧客に紹介する活動なども披露し「自社だけでなくお客さまの脱炭素への取り組みも支援したい」と話した。
一般社団法人岡山経済同友会が中心となり、地元の政財界や文化人に呼び掛けて設立した「岡山EU協会」の2022年度理事会・総会が、6月10日(金)に岡山市北区のANAクラウンプラザホテル岡山で開かれ、2021年度事業報告並びに収支計算書、2022年度事業計画並びに収支予算書案などを審議し原案通り承認した。
理事会に続いて開かれた総会には、会員35人が出席、委任状提出者53人と合わせ会員の過半数を超え総会が成立した。
議事では、まず2021年度の事業報告、収支計算書について、久山裕士事務局長が1年間の活動状況や収支決算状況を説明。2回の「EU講座」の開催、会報「EU letter」の発行などを報告した。監査報告に続いて審議し、原案通り承認された。
役員改選では、出身母体の人事異動などに伴う交代会員4人が紹介され、拍手で承認された。任期は前任者の残任期間を引き継ぐ。
2022年度の事業計画、収支予算書案についても審議し異議なく承認された。事業計画は、例年通り、欧州の経済・文化事情について学ぶ「EU講座」の複数回開催、会報「EU Letter」の発行、ホームページの充実、会員の増強、EUとの友好促進事業の実施・共催・後援の5項目とした。
総会後、法政大学の陣内秀信特任教授が「甦るイタリアの港町の輝きとこれからの瀬戸内観光の展望」と題し記念講演を行った。イタリア南部の港町の歴史や文化、まちづくりと瀬戸内海沿岸の港町のそれらとが多くの点で重なることを写真で例示しながら紹介し、瀬戸内観光の可能性について熱く語っていただいた。「まずは、そこに住んでいる人が地域の良さを認識することが必要である」との指摘は大いに頷ける。
講演後には3年ぶりに懇親会も開催、陣内教授も参加いただき着座形式ではあったが、会員相互の親睦を図った。
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講演後には着座形式の懇親会も開催し幸せの国フィンランドについて理解を深めた。
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